耳鳴り
西洋医学的な検査でも原因のわからない事が多い耳鳴りですが、漢方では約2千年前に書かれた黄帝内経という書物にも、耳鳴りについて記載されており、その後も歴代の医学書において耳鳴りについて数多くとりあげられています。
漢方の考え方では、「耳鳴り」は「難聴(耳聾)」の軽いものであると認識されていますが、中耳炎など細菌やウイルスの感染が原因でないものの多くは、急性に発生するものは五臓六腑の「肝」「胆」が、慢性的なものは「腎」との関連性が疑われます。
耳鳴りは、音の大きさ(小さなものから轟音の様に聞こえるものまで)や程度(耳を手でふさぐと音が聞こえなくなるものから、そうならないものまで)、音の種類(蝉の鳴き声、水の流れる音から雷鳴の様なものまで)、突然発生するもの、断続的に発生するもの、段々と悪化していくものまで様々なパターンがあります。
♠「耳鳴り」でよく見られるパターンは
①急性のストレスタイプ
強いストレスが原因で、「気」の滞りから「火」が発生して耳に影響を与える結果、大きな耳鳴りが発生する。耳鳴り以外には、口の中が苦くなったり、尿が濃くなる、イライラして寝付けないなどの症状を伴い、ストレスによって増悪します。
②飲食の不摂生タイプ
食生活で、脂っこいものやお酒、甘いもの、味の濃いものなどを食べ続けることで、胃腸の機能低下を起こし、水分代謝の異常から「痰」と呼ばれるカラダに不必要な余分な水分が発生し、この「痰」が邪魔して発生する耳鳴りです。耳鳴りだけではなく、時に難聴気味になったりする他、めまいや頭重感を伴います。また、口が粘ったり、便がスッキリ出ないといった症状を伴います。
③胃腸虚弱タイプ
慢性的に胃腸が弱く、「気」のエネルギーが不足して、耳に十分な「気」や「血」が巡らないために発生するタイプです。普段から食欲がない、食べた後に胃がもたれる、軟便傾向にあるなどの胃腸症状があり、疲労などにより症状が悪化します。また、人によっては「気」だけでなく、貧血など「血」が不足してくる状況でも耳鳴りが発生する。
④老化タイプ
高齢者の方に多く見られるタイプで、五臓六腑で言えば「耳」と関連の深い「腎」が加齢によって衰えることで発生するタイプです。耳鳴り以外にも、腰や膝の痛み、頻尿などの症状を伴い、夜間に耳鳴りがいくぶん強まる傾向が見られます。
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