漢方薬とじんましん
漢方では、じんましんとは、自然治癒力でもある「正気」と「病邪」の力が拮抗した状態で、病邪(皮疹やかゆみ)が皮膚にとどまった状態であると考えます。
また、急性のものと慢性に繰り返して発生するものとに分けると、治療方針も急性の場合は、原因となる「病邪」を取り除くことを、
また、慢性に繰り返して発症する場合は、「正気」のパワーを補うことに重点を置きます。
次に、カラダの外側の環境因子(冷えや暑さ)が影響して発症するものと、食べ物やカラダの内側~体質的な要因が主因となって発症するものにも分けられますが、
一般的には胃腸が虚弱であったりして体内に余分な「湿」をかかえている方が、じんましんを発症しやすいと考えられます。
♠よく見られるジンマシンのパターン
①「肺」に熱があるタイプ・「営衛不和」タイプ
外的な環境の影響を受けて発症する場合は、基本的に体表部を防衛する気「衛気」のバリア機能の低下があり、
この衛気がしっかり働くように支えている「営血」のバランスが乱れているため、外界の環境因子によってじんましんが発祥するタイプです。
「汗をかいた後に冷たい風に当たると、じんましんが出た」というパターンが典型的ですが、
中には「寒冷じんましん」のように寒さに反応しやすいタイプ(風寒タイプ)や、「暑くなるとじんましんが出やすい」といった暑さに反応するタイプ(風熱タイプ)
などによって、処方が使い分けられます。
②「営衛不和」+「湿」タイプ
基本的には、「営衛不和」タイプに似てはいますが、暴飲暴食をしたとか、もともと胃腸が虚弱な方、胃腸機能が充実していない子供や、
老化によって「腎」の働きが低下した方などによく見られ、カラダの中に余分な「湿」が存在することで、「浮腫のように盛り上がったじんましん」になることが特徴です。
この場合も皮疹の色が白っぽい寒湿タイプと赤い風熱タイプで用いる処方が変わってきます。
③「湿熱化風」タイプ
魚介類や肉など、特定の食べ物によってじんましんが発症するもので、強いかゆみと赤味の強い膨疹を伴います。
④「血虚生風」タイプ
貧血気味など、漢方で言う「血虚」が原因で、じんましんが発症するタイプです。
普段から、皮膚に艶がない、乾燥肌であるという方で見られます。
⑤「陰虚燥風」タイプ
主には老化などによる腎陰虚で体内の潤いが少なくなると伴に、陰陽のバランスが崩れて発生しやすくなるじんましんです。
じんましん以外にも、腰や膝がだるい、頻尿、手や足の裏がほてりやすいという自覚症状を伴います。
以上、良く見受けられるパターンを挙げましたが、
①~⑤以外にも、それらが複合していたり、それぞれのタイプでも稀にじんましんが出る方と頻繁に出るというのでは、用いられる漢方処方も変わってきます。
その他にも、「日光じんましん」などは「血熱妄行」タイプと呼ばれるパターンでよく見られますし、
アレルギー的な症状が強い場合は、じんましんというよりアトピー性皮膚炎と考えられるケースもあります。