漢方薬とおりもの
「おりもの」とは、子宮や膣から分泌される粘液状のものを指し、膣内を雑菌から守ったりする役割があります。
また、その分泌量は、生理の周期とともに増減し、一般的には排卵期には増加します。
また、女性ホルモンに左右されるために、40歳を過ぎる頃から、だんだんと減少していきます。
基本的に、適度な量の白色~透明の「おりもの」については問題になりませんが、量が異常に多いとか、臭いがきつい、
黄色や赤い色が混じるなどの場合は治療の対象になります。
漢方では「おりもの」のことを帯下(こしけ、たいげ)と言いますが、正常ではない「おりもの」について、
その色調や程度およびその方の体質を基にして、いくつかのパターンに分けて治療していきます。
特に細菌感染や子宮癌など、西洋医学的な検査で特に異常が見つからない場合は、婦人科的な疾患というよりも体質的な歪みが原因となって「おりもの」の
異常が見られますので、漢方薬によって体質を改善していくことが「おりもの」だけではなく全身的な健康状態を回復するためにも有効です。
次に、よく見られる正常ではない「おりもの」のパターンを挙げておきます。
漢方では、まず「おりもの」のタイプとその方の体質の2つを総合的に考えて、適切な処方が決められます。
(特に外陰部の痒みが強かったり、下腹部痛、発熱を伴う場合は細菌感染などが疑われますので、その場合は婦人科などを受診されることをお勧め致します。)
●胃腸虚弱タイプ
あまり臭いが強くない、ドロッとした白色または稀薄で臭いのな黄色味がかった「おりもの」が多い状態が続くというタイプです。
体質的には胃腸が弱く、むくみやすい、疲れやすいという方に多く見られます。
また、疲労することにより「おりもの」の量が増えるというタイプで、日本人に多く見られるタイプです。
●冷え性タイプ
無臭の薄くてさらっとした白色の「おりもの」が多く出るもので、お腹や手足が冷える、足や腰がだるい、頻尿または回数が少ないなどの症状を伴います。
●ぽっちゃりタイプ
ドロッとした白色の「おりもの」が多く出るとともに、午前中は体がだるい、胃腸の調子が悪くなりやすい、痰が出やすい、のどに異物感がある、
口の中が粘るといった自覚症状を伴うタイプです。
どちらかというと、水太り体質の方に多く見られますが、必ずしも太っているとは限りません。
●ストレスタイプ
粘りけが強く、臭いもきつい「おりもの」で、白色または時に血の色(赤色)が混じります。
下腹部に張りがあって痛んだり、生理前になると胸や脇が張って痛む、憂うつ感やイライラなどの神経症状を伴うタイプです。
●乾燥肌タイプ
うすくても量の多い「おりもの」で、色は白色または血の色(赤色)が混じります。
陰部の乾燥感や灼熱感を伴うほか、耳鳴り、尿が濃い、口の中が苦い、膝や腰がだるいといった自覚症状を伴うタイプです。