漢方薬と慢性肝炎
西洋医学では、肝炎は病因によってウイルス性、アルコール性、薬剤性などに分類され、その経過によって急性、慢性などにも分けられますが、
主として肝細胞の炎症の状態を中心に治療していきます。
漢方では単純に肝臓の炎症という捉え方よりも、「熱邪」や「湿邪」といったものが体内に入り込んできて、
特に「脾胃(胃腸)」の機能低下を中心として、「肝」や「腎」に影響が及ぶ病態と捉えて治療していきます。
特に自覚症状や舌の色や苔の状態を参考にしながら、大きく分けると5つくらいのタイプに分けて治療していきます。
それぞれのタイプに合った漢方薬を服用かることで、自覚症状の改善が得られれば、肝機能の数値も低下していきます。
①肝気鬱結タイプ
主症状・・・右の脇腹やお腹が張る、イライラしやすい 舌質・・・辺縁部が紅
②脾気虚弱タイプ
主症状・・・倦怠感、無力感、食欲不振、軟便 舌質・・・淡
③肝腎陰虚タイプ
主症状・・・微熱、ほてり、口や喉の乾燥感 舌質・・・紅~深紅、無苔
④脾腎陽虚タイプ
主症状・・・腹水、顔面蒼白、尿量減少 舌質・・・淡
⑤瘀血タイプ
主症状・・・顔色・口唇の色が暗い黒色、クモ状血管腫 舌質・・・紫暗色
また、肝硬変に対しては西洋医学的に言う代謝期、非代謝期をそれぞれ「気滞血瘀」、「肝腎陰陽両虚」と捉えて治療します。