漢方薬とVDT症候群(パソコンによる様々な疲れ)
VDTとはVisual Display Terminal の頭文字ですが、パソコンの普及むにつれて、仕事や趣味で多くの時間をパソコンのディスプレイを見ながら過ごす方が増えています。
これに伴い、長時間に渡って意識を集中してパソコンの画面を見つめることで、VDT症候群と呼ばれる様々な症状を呈する方が増えています。
主な症状としては
①眼の症状・・眼精疲労、ドライアイ、かすみ目、充血、視力低下など
②肩や腰の症状・・肩こり、腰痛、手や指の痛みなど
③精神神経症状・・頭痛、睡眠障害、イライラ、抑うつなど
④胃腸症状・・お腹の張り、ガス、食欲不振など
一見すると、全身の様々なところに症状が発生するわけですが、漢方的に考えると「意識を集中して、パソコンの画面を長時間見る」という行為は、
五臓六腑の「肝」と「腎」に負担がかかると言えます。
漢方の基礎理論では、「肝は目に開竅する」とされ、「目」と「肝」はつながっています。
また、「肝は筋膜を司る」と言われ、「肝」の緊張は、筋肉の緊張(腰痛、肩こり)の原因になります。
更に、「肝」は「疏泄作用」といって、全身の「気」や「血」のスムーズな循環をコントロールしていますので、
「肝」に負担がかかるとイライラや抑うつ感などの神経症状が発生しやすくなります。
一方、「腎」は「作強の官」と言われ、「腎」は意識を集中してなにかをやり遂げようとするパワーの源であるとされています。
また、「肝」と「腎」の関係は、五行説では「木」と「水」の関係になりますので、根を詰めて作業をすることで、「腎(=水)」が消耗し、
このことが「肝(=木)」の機能低下を起こしやすくなり、「肝」と関連のある「目」、「筋肉」、「自律神経」などの症状の悪化を招きます。
よって、VDT症候群の治療としては「肝」と「腎」を補ったり、調節していくことが基本になりますが、症状の種類や強弱、
「肝」や「腎」のコンディションの状態によって用いられる処方は変わってきます。
ビタミン剤や点眼液を常用しても、カラダがスッキリしないという方は、「肝腎かなめ」の「肝」と「腎」をパワーアップする漢方薬を試されることをお勧めいたします。