漢方薬と寝汗
漢方では寝汗のことを「盗汗(とうかん)」と言い、寝ている時に汗をかくものの、目が覚めると止むことを指します。
(気候や温度によるもの、インフルエンザや熱病の初期に見られる様な寝汗は含みません)
原因としては、体表部を守っている「気」の不足や、陰虚と呼ばれる状態・・「陽」が強いというよりは、「陰」(漢方では血、津液(水分)、精)の不足から
相対的に「陽」が余ることによる「熱(虚熱)」・・の影響で汗が出ると考えられています。
♣よく見られる寝汗のバターン
①精神的な過労によるもの
精神的な過労によって、いわば「心(こころ)」が汗をかいているようなものです。
これは、精神的な過労により、「心」の「血」が消耗してしまって、心血虚と呼ばれる状態になることで発生する寝汗ですが、
ちょっと動いただけでも動悸がしやすくなったり、眠りが浅く、よく夢を見るという症状も現れます。
このタイプでは、疲労感が強いこと以外にも、基本的に「血」が不足しているので、顔色に艶がない、息切れしやすいなどの症状を伴います。
②肉体的な消耗によるもの
長期に渡る慢性病などで、カラダが痩せていくなど肉体的な消耗、すなわち体内における「陰」の減少から、
相対的に「陽」が余り、虚熱と呼ばれる熱が発生し、この熱により汗が出るというものです。
このタイプでは、夕方になると熱感が出てきたり、顔や頬が赤くなりやすかったり、手足にほてりを感じるなどの他、
寝汗に関しても、頻繁に出るという特徴がある。
♣寝汗に限らず、昼間も汗が出やすいという場合
①比較的体力のある方で、飲酒や辛いものの過食が続いて、カラダがだるく感じ、口の中が粘るという方で、寝ている時に限らず、ジトッとした寝汗が出る。
②体力のない方で、体表部を守っている「衛気(えき)」と呼ばれる「気」のエネルギーの低下から、
疲れやすい、風邪を引きやすい、季節の変わり目に体調を崩しやすいという方で、
汗をかくというよりは、「汗が漏れてしまう」