漢方薬とガン・免疫
「人は病そのものより、病であるという事実によって苦しめられる」とは19世紀の哲学者ニーチェの言葉ですが、
ガンほどこの言葉が当てはまる病気はないのでしょうか?
実際、少し前まで日本の病院に於いて、患者さんにガンを宣告するかどうかという事は大問題でした。
最近ではそういったこともなくなりましたが、これは勿論、西洋医学的に於ける「ガンの3大療法」と言われる外科的手術、放射線治療、化学療法(抗ガン剤)などの
進歩や発展も見逃せませんが、最近のガンに関する研究で、昔のように「ガン=死」というような単純な話しではないということが解明されてきた事が大きいと思われます。
第一に、私たちのカラダの60兆近くある細胞のうち、毎日のようにいくつかの細胞は発ガン物質などの影響により傷つけられ、ガン化している事がわかってきました。
ただ、カラダに備わっている免疫機能が働いて、傷ついた細胞を排除する事で大事に至らない訳です。
この一つの細胞が傷ついて、免疫機能で排除されずに細胞分裂を繰り返した結果、直径1㎜のガン細胞になるまで5年~10年、早期ガンと呼ばれている直径1㎝程度に
なるまで15年程度かかるといわれています。
更には、ガンといっても急速に増殖する悪性のものや、あまり増殖しないおとなしいものなどがあることもわかってきています。
●誰でもガンを持っている
ガンの所見が全くなく死亡した高齢者の遺体を解剖してみると、約半数の遺体からガンが認められ、直径1~5㎜程度の微小ガンに至っては
ほぼ善に見つかったという報告が日本ガン治療学会で発表され、ガン細胞が発見されたからといって直ちにそれが生命を脅かす訳ではないと言う意識が広まりました。
確かにガンが発見されたからといって、「今」生きているのであれば、その発見されたガンが急速に大きくならない限り、生きていける訳ですから、
ガンという言葉だけで過剰に恐れたりする必要もないといえます。
(ガンであるという事実を過剰に受け止めることで免疫力の低下をきたすことも少なくありません)
ただし、ガンが発見されるということは、かなりの長期間に渡ってその方の免疫力が低下していたということになり、たとえその間、西洋医学的に病名がつかなくても
漢方的に見ると問題のある事が多く、体内の陰陽のバランスを整えたり、エネルギー不足に陥っている五臓六腑の機能を高めたりしながら、
免疫力を高めていく必要があります。